英語、とりわけTOEICの勉強を始めたばかりの人がまず行うのが、「文法」と「単語」でしょう。この二つの学力はその後の基礎となる部分なので、きっちりと固めておく必要があります。今回はこの中でも「効率よく単語を覚える」という部分に焦点を当てていきたいと思います。
TOEICに必要な単語数は?
あくまでも目安ですが、TOEICに必要な単語の語彙数として
- 中学までで習う 1000語
- 高校までで習う 3000語
- センター試験 4000語
- TOEIC600点 5000語
- TOEIC730点 6000語
- TOEIC860点 10000語
- ネイティブ中学生 10000語
- ネイティブ高校生 15000語
- ネイティブ社会人 20000語
ぐらいだそうです*1。ここで言う語彙数とは、「I」とか「love」とかも含んだものなので、市販で売っている「英単語2000」とかの2000とは違います。こちらはただ2000語が本に書いてあるよということなので。
ちなみにボキャブラリーはこちらのサイトで計ることができます。
3分くらいでできるので暇なときに試してみると良いかもしれません。
ただTOEIC英語は、大学受験での英語とは違って、よりフォーマルな英語になっているため、「今まで大学受験で英語はだいぶ勉強しました」という人も、英単語に関してはキチッとTOEICに特化した単語帳を使うのが良いと思います。
単語帳の種類と自分の傾向を選ぶ
単語帳は大きく分けて
- 単語と意味がリストのようになっているもの
- 英文の中に単語が散りばめられてあり、英文を読むことで単語を覚えていく
の二つのタイプに分かれます。前者のものとして例えば
があり、後者そしては
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などがあります。立ち読みの参考にしてください。
この二つのタイプは、個人の相性によってどちらが良いのかは大きくことなるので注意が必要です。僕は前者の方が覚えやすいですが、今流行りなのは後者の本です。どっちかよく分からないという人は、とりあえず後者を選べば良いと思います。
忘れることを前提にする
「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存知でしょうか?これは時間がたつと人間は物事を忘れていく、というものをグラフに曲線に表したもので、今日英単語を覚えたとしても、それは「短期記憶」であるため、明日になれば70%は忘れてしまうというものです。
つまり今日覚えた英単語も7割は明日になれば忘れているのです。ちょっと絶望ですよね。なので基本的に1000個の単語帳を「一日集中して10個覚えて、100日で終わらそう!」というのは不可能なわけです。今日10個なら明日には3個しか覚えていないので…。
「短期記憶」だと3割しか覚えられませんが、これを何回も見ることで、次第に「長期記憶」に変換されていきます。こうして多くの単語を「長期記憶」にすることで、英単語は覚えることができるのです。
そのように考えると、最も効率のよい単語の覚え方は「一日に大量の英単語を見て、それを何度も繰り返す」方法であるということです。一気に厚い層を作るのではなく、うっすい層を何日も何日も塗るようにして覚えていきます。単語の記憶は、単語と触れた回数に比例していきます。
ということで、英単語帳とは基本的に、「忘れること前提」で付き合っていきます。どうせ7割は明日には忘れるので、少なくとも一日に100個の単語と触れるようにしてください。
僕は暇な時間がかなりあったので、一日1000個とかでやってました。どれだけ苦労して1000個進めても明日になったら忘れているのは残念ですが、うっすい層しか塗れないのでどうせなら幅広く塗ろうと思いやりました。
音声を使う
英単語を学ぶ際には、必ず声に出しましょう。単語を見て覚えるのと読んで覚えるのでは、何倍もの定着の違いが生じます。
また今後行っていくであろう「音読トレーニング」や、「リスニングトレーニング」なども意識をすれば、単語を音声化して定着させておく必要があります。
英語上級者は皆、英語を音から入ります。基本的には英単語の発音記号を見ながら覚えていくのですが、発音記号が分からない方はCDなどの音声が直接聞ける単語帳を選びましょう。
この「単語を音声化する」という作業は時間をかけてでもやるべきです。
見て覚えるのはNG
ときどき電車の中で、単語帳とにらめっこしている高校生がいますが、あれはかなりもったいなく、非効率なことです。
上にも書きましたが単語は音と混ぜることによって脳への刺激となり、定着が良くなります。ただ多分そういった高校生は、今日の単語テストのために「超短期記憶」しているのでしょう。僕もよくやってました。
書いて覚えるのもNG
書く試験があるのならともかく、TOEICのように書かなくてもよい試験では、書いて覚えるのも非常に効率の悪い方法です。
1つの英単語を書いている間に、読んで進めていく方法なら3つは進めます。上にも書いたように記憶に必要なのはその単語に触れた回数です。わざわざ回数を減らす必要はないでしょう。
ただ例外として、「非常に似ている単語」を区別するために行うのは効果的です。僕はcomplimentary(無料の)とcomplementary(補足的な)が、いつもどっちがどっちだか分からなくなっていたので、書いて覚えてました。
こういった「読みも似ている単語」を区別するには、書いて覚える方法が本当に役にたちます。
暗記カード作りもNG
暗記カードも、効果はありますが、作ったりする効率の面であまりおススメはできません。
初めは英単語と意味を1対1で覚える
英単語帳によっては、一つの英単語に複数の意味が書いてあります。そもそも英語と日本語が1対1で対応しているわけではなく、例えば「have」なんて本当にいろんな意味があります。
しかし最初から全部覚えようとすると莫大な時間がかかってしまい、効率が悪いですので、「最初は」英単語と日本語を1対1で覚えていった方が良いです。
その後勉強を続けていく上で、複数の意味を肉付けしていくことで、効率的に学んでいけます。
単語をイメージする
その単語を「イメージ」で覚えていくのも重要です。supply(与える)だったら、誰かにものを与えている様子をイメージして、右脳にも動いてもらいます。
ここまで具体的でなくても、「良いイメージ」と「悪いイメージ」で分類するのも僕はやっていました。例えばcourteous(礼儀正しい)は、「何か良いイメージだな~」とか、reluctant(気乗りしない)は、「ちょいマイナスだな~」とか。
かなりアバウトですが、特に形容詞なんかはこれでも意外と文章って読めるもんです。いずれはきちんと覚える必要ありますけど。
英語→日本語だけでなく、日本語→英語で行う
単語帳のものによりますが、「英語→日本語」のトレーニングか「日本語→英語」のトレーニングのどちらかのみだと思います。
しかしこれだけだと、短時間で学習を進めた場合に「順番で覚えてしまう」というデメリットがあったりします。こうなった場合、いくら単語帳を進めていても頭は働きません。
そこで一通り終わった後にその逆のトレーニングをすることで、再び頭を動かすことができます。
忘却曲線を利用する
上のものと少しかぶりますが、毎日毎日同じところをやっていると、だんだんと刺激の少ない作業のようなものになってしまいます。
そこで僕は、3周までは毎日同じところをやりますが、4周目からは必ず1日開けるようにしています。そうすることで忘却曲線がある程度のところまで落ち込み、記憶として薄れてきます。
その後再び同じところを行うことで、1日開いたことによる刺激が生まれます。少しでも脳が考えて単語を思い出すので、定着度が増すということです。
6周したら2日開ける。10周したら2週間あけるなどで僕はやります。最終的には1カ月開けてやったりしますが、ここまでやるとほぼ間違いなく定着します。
複数の単語帳を使う
よく「1つの単語帳をボロボロになるまで使え」と言いますが、確実に2つの単語帳を使った方が単語は覚えやすいです。
1つの単語帳で行うと、上で書いたような工夫をしても、順番で覚えてしまったりしますが、2つ目を使うことでそういったことが防げます。
また、1つ目の単語帳で学んだ単語が2つ目で出てくると、より理解が増します。単語帳の違いによって同じ単語でも表現が違ったりします。
そういった部分をお互いの単語帳で補い合うことで、その単語自体を「ニュアンス」として捉えることができます。
最終的に0.5秒で意味がイメージできるレベルに
最終的な目標としては、これくらいのスピードで意味や言葉が出てくるようにトレーニングをします。
実際、単語は英文の中に組み込まれて出てくるので、一つの単語に1秒でもかけていたら絶対に時間内に解き終われません。「数秒かかって思い出す」というのは、単語学習で言う「覚えた」にはならないことに注意してください。
まとめ
僕は上に書いたようなことを意識して単語を勉強します。英語を勉強し始めようとすると、おそらく多くの人が単語からやり始めますよね。
ただ単語の学習ってものすごく単調だし、勉強する習慣がついてなかったので僕もすごく苦労しました。なんか「枕元に置いとけば勝手に覚えないかな~」とか妄想したりよくしてましたし。
ちなみに単語は、寝る前に勉強することで寝ている間に記憶として脳が整理してくれるそうですが、僕はそれを理由に「単語は寝る前にやろ~」と言って、寝る前になったら「眠いから明日~」ってなってたので昼間にやってました。
単語の学習はモチベーションさえ持てば誰でも覚えられるので、いかに気持ちを保てるかが一番大切なのでしょうね。僕は覚えた単語にチェックをしてました。
よく、覚えていない単語にチェックする人がいますが、覚えた単語にチェックした方がどんどん埋まっていって楽しいです。100単語ずつで単語帳を区切って、100個終わった段階で、チェックがついている個数を数えて表を作ってました。
そうすると数字がどんどん増えていくので、楽しみと達成感を味わいながら進めることができました。
少しでも参考になれば幸いです。
TOEIC記事
*1:大まかな参考としてとらえてください