大学生のアルバイトとして、飲食店などの接客と並んで非常に人気なのが塾講師のバイトです。僕自身大学に入って2年半、塾講師をやってきました。家庭教師などを含めると教育関係のみでおよそ6種類ほど体験しています。
短期間で何種類もやるといったやり方ではなく、メインの塾として一つ2年続け、他塾は友人のヘルプやイベントのみの参加だったりします。
僕が体験したのは塾業界のほんの一部ですが、これから塾のバイトを始める方にどのようなところを注意すべきなのかのブラック事情を書いていきたいと思います。
また、デメリットだけだとあれなので、最後にはなぜあえて大変な塾講師のアルバイトをやるのか、メリットにも触れていきたいと思います。
塾アルバイトをやる前に確認しておくべきこと
授業の形は「個別授業」か「集団授業」どちらか
「個別授業」とは、先生と生徒が1対1。もしくは1対2など、非常に少数な授業。座って勉強している生徒の周りを先生がグルグル歩いて、指示を与えたり指導していきます。
「集団授業」とは、学校の授業のような形で授業をします。生徒は全員前を向き、先生が黒板やホワイトボードなどで解説をしていくというものです。
これらは、生徒として受けている身からするとあまり差がないように思いますが、教える身からすると、「授業の難易度」と「授業準備にかかる時間」は雲泥の差があります。
体感ですが、比率でいうと集団授業の方が7倍ぐらい難しく、5倍ぐらい授業準備に時間がかかります。安易に「自給が良い」と言って選んだものが集団授業で…というのもあるので気を付けて下さい。
給料が発生するのは、授業内のみかどうか
塾業界というと圧倒的な高時給ですが、大半のバイトは「授業内のみ」発生するものだと思ってください。
授業外では「発生しない」or「事務給として880円くらい」がほとんどです。授業外で給料が発生する場合は、必ずアルバイト情報に書いてあります。書いてない場合は間違いなく発生しません。
この当たりは、大手の「日本一の塾講師専用求人サイト【塾講師JAPAN】」などで確認をしてみると勝手が分かると思います。
その金額は時給ですか?コマ当たりの金額ですか?
アルバイトサイトでは、基本的に時給いくらと書かれていますが、塾系のバイトでは「一コマ」~円と書かれていることも多いです。
一コマとは当然塾によって長さは違います。時給なのかどうかで金額は大きく変わってきますのでしっかり注意してみて下さい。
授業前&授業後に、拘束時間がある場合がほとんど
サイトのアルバイト情報には書かれていないですが、授業直前に行けば良いというところは、ほぼないです(自分が生徒だったときも、自分と先生が同時に塾に入るようでは、先生への信頼が落ちるでしょう)。
だいたいの目安としては、個別授業の塾は授業前後に30分~60分。集団授業では授業前後45分~90分ほどは拘束されると思った方が良いです。
拘束させるような規則が塾中に無くとも、プリント印刷やら、授業後のミーティングやらで、結局それぐらいは残ります。
それらと出勤時間を含めた時間で改めて時給計算をしてみて下さい。800円ぐらいになりませんか…?
時給の目安はどれくらい?
感覚的なものですが参考程度に書いておきます。東京で
個別授業 1000円
集団授業 1600円
ほどかと思います。
1年目の給料は「時給1600の集団」<「時給1000の個別」
上に書いたように、集団授業は授業の予習時間が非常にとられます。特に1年目は予習に慣れていないので上のようになります。上の不等式は2年目で=ぐらいか、ちょっと「時給1600の集団」の方が多くなります。3年目では確実に>です。
1年目から予習0で臨めば、当然「1600の集団」の方が稼げますが、そんな授業は害悪ですし止めた方が良いです。
予習時間はどれくらいか
これも人によって大きく違うと思いますが、僕は
- 個別授業→授業時間×(0.5~1)倍
- 集団授業→授業時間×(1~1.5)倍
- 集団授業で自分が納得するまでのできにする→授業時間×(8~16)倍
完璧主義者が採取され、損をする業界
上に示したように、本気で良い授業をすると時間は足りません。
言い方は悪いですが、どこまで妥協するかの勝負なのだということを忘れない方が良いです。
正直言って、毎回本気の準備をしていたらもちません。
集団授業でどの教科をやるべきか
基本的に教科によって難易度は違います。僕は国語以外全てやったことがあるので雑感を書きます。
数学or英語
塾講師初心者はまず数学or英語をやるべきです。意外かもしれませんが、これら二つは主要教科なため、マニュアルがしっかりしていることが多く、自学もやりやすいです。また知識的なことを教えることが多いため、授業としてやりやすい。
ただこの2つの教科は入試レベルだと非常に奥が深いため、最終的には幅広い知識と入試研究をすることになります。講師初心者と講師超ベテランが担当している教科なイメージ。
理科or社会
これらの教科を行うのは非常に難しいです。これらは総じてサブ的な位置づけなため、時間が短い場合が多いです。故に教える内容がおさまりきれなく、時間との勝負になります。
また数&英は、授業の中の半分くらいは生徒に問題を解かせている時間があります。その時間講師は予習の続きや休憩がとれますが、理社は基本的に暗記科目。知識を紹介して、「暗記は家でやってきてね」っていうスタイルが多いです。
つまり授業内は講師が喋りっぱなしです。喋りで引きつけられないと当然生徒は眠りますし、その辺は正直です。夏期講習で3時間社会の授業をした後は、喋りすぎで眩暈がしました。
ただこれらの教科は、積み上げ型でないことが多く、途中入塾者への補習がやりやすいです。また入試問題も、私立は3教科のところが多く理社がないところが多いので楽です。
マニュアルはしっかりしている塾ですか?自由が売りの塾ですか?
これは個人的な好みの問題になりますが、塾によってマニュアルがカチカチなもの、塾講師の自由がかなりあるもの大きく違います。特に小学部はマニュアルがきっちり決まっている傾向が強いです。
喋る内容や板書まで既に完成されているマニュアルもありますが、大半はマニュアルに完全に頼って授業をすることはできません。生徒によってやり方は変える必要があり、担当する講師のキャラや担当クラスなど、状況は全く変わってくるからです。
それでもマニュアルがあると非常に心強いので、初めてやる人はマニュアルのしっかりしているところがおススメです。
大手ほどマニュアルがしっかりしている傾向があります。
塾の場所周辺の状況を調べる
- 塾の周辺に高級住宅街があったりすると、比較的教育熱心な親御様が多い
- 塾の周辺の学校に国立大付属校や有名大付属校(こういった小学校・中学校は、総じて偏差値が70ぐらいある)などがある場合は、非常に頭の良い子が入っていたりする(定期テストの質問対応だけで数日とられるほどの難易度だったりします)
塾の特色を簡単に調べよう
当然ながら塾の方針に講師も従っていく必要があります。塾が体育会系を売りにしているのなら、親御様は当然それを期待して入塾させる訳で、講師に求める像であるからです。
塾のメインのサイトを見ればだいたいどんなところに注力しているのかが分かります。
例えば有名私立校の合格者数を数字でアピールしているところであるのならば、スパルタで厳しくしても(ある意味やめさせるぐらいでも)生徒に結果が求められますし、公立への合格率でアピールしているのなら、幅広い生徒への手厚い補習などのサポートが求められます。
地域密着型なのか大衆型なのか、ガンガン知識を身につけさせていくタイプか、定期的にイベントをしていて勉強を楽しむ系なのか。
自分だったらどういった講師になりたいか重要です。
保護者とのつながりをアピールしている塾は講師への負担急増
塾のホームページを見て、特に保護者とのつながりをアピールしている塾は要注意です(ちなみに、どの塾でも保護者とのつながりは書かれています。特に強調されている塾という意味です)。
授業運営以外にも、保護者とのつながりというのは講師(特に大学生)にとってはすごく負荷になります。
当然ながら塾の先生は常識人で、正しい言葉が使えて、幅広く社会に精通していて、入試情報などにも詳しくなければいけません。バイトに入ってすぐにできる必要はありませんが、いずれそうなる必要があるということです。
特に若い講師への保護者様の懐疑の目は厳しいです(経験済み)。
根性論、きれいごとを多用してくるところは要注意
どこの業界でもそうですが、ブラックであることを根性論やきれいごと、また日本人独特の「諦めたら試合終了だぞ精神」「我慢こと美徳精神」を強調してくるところは要注意です。
特に塾業界は、文頭に「生徒のため」というワードをつけると全て良い響きに聞こえてきます(死ぬまで働け→生徒のために死ぬまで働け)。
塾バイトは大変 稼ぐためだけにやってると
こんなところかと思います。上に書いたのは塾業界での悪い部分をメインに書きました。しかしそれは塾バイトを半端な気持ちでやってほしくないという意味合いでもあります。少なからず生徒と関わるので、その子の人生に影響するからです。
ここまで書いてしまうと塾講師になりたくないと思うかもしれませんが、決してそんなことはないと思います。上で示したデメリットを補って有り余るぐらいのものは得られるからです。
ざっと思いつくだけでも、
- コミュニケーションスキルの上昇
- プレゼンスキルの上昇
- 度胸
- 学問への深い理解
- 子どもたちから受ける学問への新たな視点
- 子どもと触れ合う力
- 子どもを成長させる難しさ
- 電話対応
などあります。特に親御様とのコミュニケーションは本当に神経をすり減らします。
しかし上に書いたものって、普通ならむしろお金を払ったりして得るものです。
「コミュニケーション形成講座」「プレゼン力養成セミナー」など巷には溢れていますが、塾講師バイトはそういったものを逆にお金を貰ってできるわけです。(結局のところ、やる人の気の持ちようということです)
実際、集団塾を経験している人とそうでない人は、差というか、風格が違います。話し方が塾っぽくてちょっと鬱陶しいと思うときはありますが…。
また、卒塾式などでの生徒からの感謝の言葉は、本当に涙ものですよ…。教員がハマってしまう気持ちがわかります。
僕自身、塾講師を続けることができたのは、「金銭的な報酬はわりに合わないのは、自分に投資しているから」と思ってこれたからです。逆を言えば金銭的な報酬のみを求める人はやるべきではないとも思います。
また、一度入ると長い期間やめられないイメージがありますが、僕は塾講師をやりながらも「ショットワークス」を利用して単発バイトを何回かやっていたので、他のことができなくなるわけではありません。
むしろアルバイトは「継続」と「単発」を両方やって、深く、だけど幅広くやるという経験が大切ではないかと感じています。
参考リンク
アルバイト関係での参考リンクです。
塾講師JAPAN
塾講師専門の求人サイトだと塾講師JAPANが掲載数1位でてっとり早く僕もお世話になりました。
ここから登録すると初出勤時に最低5000円・最大20000円がもらえるというのもかなりのメリットです(ただ、アマゾン券としてもらえるので注意してください)。
「大学生歓迎」「スキルアップ」などで検索し、上までに書いたことを踏まえ、自分の思い通りの場所を見つけてみてください。
マッハバイト
塾講師以外なら、有名かつ、どのバイトでも行えば問答無用で1万円が手に入るマッハバイトがおすすめ。
shortworks
短期・単発バイトをするときにはショートワークスが非常に便利。
アルバイトEX
意外と抜け道なのが、アルバイトは結構、祝い金を出してくれるところがあること(塾講師の場合は、塾講師JAPANの方が確実にもらえるので求人数を見てもそちらをオススメします)。
ここではいろんなアルバイトサイト内を検索できるので、とても種類が豊富。うまく利用することで短期間で一気に稼ぐことを狙えます。祝い金目的はすごく良いと思いますが、マナーは守りましょうw。
その他にいろいろと経験をしたアルバイトからオススメのものを紹介
その他大学生にオススメのアプリなどまとめ