「時間が遅れる」「空間が曲がる」など、非常に難解だけれども現象としておもしろい相対性理論。これらに関して学べる本を選んでみました。
啓蒙書から、最終的には専門書までを難易度順に並べています(数学書は別)。後半、僕自身読めていないのもありますが、友人などの意見も交えてのものになります。
相対性理論が学べる本
啓蒙書
マンガでわかるシリーズの相対性理論です。「相対性理論って何じゃらほい??」っという方にとっての第一歩となる本です。このシリーズは他の本も含め、イメージをつくるのに役立ちます。
本じゃないですが、以前書いたこの記事は、難易度的にはこの辺りだと思います。
個人的にかなりおすすめの本。500円ととにかく安いし、「相対性理論」と「量子論」という、2大超ビッグテーマを一冊で分かりやすく学べる。難解で説明するのが難しい部分も、非常に平坦に訳してくれています。
ただ読みやすくするためか、ホームズによる会話形式で進んでいきます。これはむしろ逆に分かりづらくなっているような気がしなくもないです。
僕は最初、適当にアマゾンで1円で購入したので、読んだときは本当に驚きました。コスパ最強で、高校生でも読めると思います。
ニュートンでは相対論はよく扱われています。相対論を理解するために買うのなら普段売っているものではなく、別冊で出ているのを買うのがオススメ(値段は高い)。
ニュートンの特徴はとにかく図が豊富なこと。厳密ではないけれど、こういった豊富な図を見ることで一気に理解度が増します。
上のニュートンは「相対論」「量子論」「超弦論」を一冊に集めたという、定食のようなもの。対して下のは相対論のみを詳しくといった形です。ニュートンで使われる図は毎回ほぼ同じなので複数はいらないと思います。
またまた以前書いたこの記事、難易度はこの辺りだと思います。ただ時間の遅れのみにしか触れられていないのが難点です^^;。
この「高校数学でわかる」シリーズは、その表紙と裏腹に結構難易度が高いです。「ただ現象を理解したい」という人は手を出さない方が良いです。
この本は、「現象が分かったけれど、どんな風に数学的に表されるのか?」 という人が読むと、非常にスッキリと読めます。
大学生の教養として読んでみたり、専門書にいく前にざっと目を通しておく、といった使い方が良いのではと思います。
いずれにしても、正直高校生はキツいのではないかと思う。
アインシュタインの論文の内山先生による訳と、超VIPな本。アインシュタインは説明の天才とも言われていて、その論文も物理学者が書いたものとは思えないほど完結にまとめられています。
とはいえ、数式を使ってこねくり回しているため大変なことには変わりはありません。
この本は2部構成になっていて、前半はアインシュタインの論文の訳、後半は内山先生による論文の解説になっています。この論文の解説と論文とを行ったり来たりしながら、少しずつ少しずつ読み進めていきます。
非常に大変ですが(専門書に入れたいくらい)、いろんなデマや間違った説明が広まる中、原典を読むことには価値は大きいと思います。
専門書
ここからは専門書を入れていきます。
相対論はそもそも電磁気学と古典力学の矛盾点から見つかった学問。この理論電磁気学では、電磁気学を勉強した後に、「それがどんな風に古典力学と矛盾するのか??」に焦点が当てられている珍しいもの。
相対性理論自体は11章ですが、そこまでの歩みを書いた10章は、当時の物理学者がどんな思考をし、どんな矛盾や壁に当たり、どんな風に考えを転換していったのかをとつとつと語っていて、読んでいても大興奮!
歴史に沿って話が進んでいくので、一般の教科書には載ってない「間違いの式」もたくさん出て来ます。しかしそれらがだんだんと修正されていく様子を書いていて、教育的効果は絶大です。
この本では特殊の相対論にしか触れておらず、数式も適度なまでにしか一般化されていないので他を読む必要はあります。
ジャクソン電磁気学も後半は相対論です(訳書では下巻)。
この本も電磁気の教科書のため、扱っているのは特殊相対論のみ。
相対論の本というよりかは、後半に出てくるチェレンコフ放射などへの準備、といった立ち位置として触れるだけなので、最小限しか書かれていません。行間も信じられないくらい空いているので初学者には向きません。
「この本で相対論がわからなければ、相対論を学ぶのは諦めた方が良い…」というような過激な前書きで始まる相対論の専門書。いや、ふつうに後半分かんねえっす笑。諦めた方がいいのかな^^;
二部構成で前半は特殊相対論、後半は一般相対論ですが、特殊相対論は結構あっさり終わります。この時点でつまづいた人は一旦他の教科書に移った方が良いかもしれません。
テンソルもゴリゴリ出てくるので数学書もとなりに置きながらっと、なかなか進まない…。コンパクトにまとまっているので一旦下に紹介するような本をまわり、また戻ってきます。
数学書です。相対論はテンソル地獄と呼ばれるように、テンソルが分からないと話になりません。相対論の本にはおまけ程度にテンソル解析が書かれていることが多いですが、不足していることがほとんど。こういったテンソルに関する数学書を用意し、辞書的に調べながら進めていきます。
間違っても全部読もうとはしてはいけません。
前書きに「一般相対論を専門としない人向けの一般相対論」と書かれていたので買いました。
とても薄く、 分かりやすそうですがやはり相手は一般。一ページ進むのも容易じゃありません。一行一行噛みしめるように進めていきます。
ただ記述は豊富で扱っている内容も厳選されており、薄いので一般初学者向けに良いと思います。
苦しんでいるように思いますが、一般相対論の入門書的位置付けの本は少ないので非常に重宝しています。
新しい本で読んだことないですが、これも一般相対論の入門的なものだと思われます。いずれ読む予定です。
タイトル見て思わず手にとってしまいます笑。理解するのを諦めたい!と思う人がいかにいるかということですよね。
場の古典論―電気力学,特殊および一般相対性理論 (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)
- 作者: エリ・ランダウ,イェ・エム・リフシッツ,恒藤敏彦
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 1978/10
- メディア: 単行本
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ランダウ=リフシッツシリーズの中でも最も有名だと言われる場古典。論文のリファレンスにも良く出てきますし、相対論抜きにしてもやる価値はあります。
書き口や展開が独特とのことで有名です。
一般相対論の基礎理論に関してのゴール地点と読んで良いのではないでしょうか?ものスゴイボリューム感の名著。
相対論を専門に扱っていく人はこの本を手にとっていくのでしょう。テンソルの次の章までいって止まっている状態。いずれこの本を読みこなせるようになりたい、と心から願って部屋に飾ってあります。
数学書。
一般相対論は、空間が曲がるなど、平面でない場を考えなければいけません。
こういった場ではもはや「直線」という定義から変えないといけないし、微分や積分も今まで使っていた定義を変更しなければいけません。いわゆるリーマン幾何学というものを学ぶ必要があります。
この本では曲がった空間に数学的定義を拡張するというものです。例によって全てを読むのは大変なので、少しずつ必要な部分を読んでいきます。この本か、「リーマン幾何学」のどちらかを置いておくべき。
- 作者: Charles W. Misner,Kip S. Thorne,John Archibald Wheeler
- 出版社/メーカー: W H Freeman & Co (Sd)
- 発売日: 1973/09
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重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
- 作者: J. A. Wheeler,C. W. Misner,K. S. Thorne,若野省己
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2011/04/07
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1000ページを超えるいわゆる電話帳。ジュンク堂の理工書コーナーでもひときは暗黒のオーラを放っている。「あっ、それGravitationに載ってるよ」と言われたときの絶望感。
おまけ
「相対性理論は間違っている!」と主張する方が出している本を読むと、本当に面白いです。例えば下の本
や、そういった本のカリスマである千代島さんの本
などを読んで、この本の中のどこが間違っているのか?というのを指摘する訓練をしていくと、より相対論に対する理解を深めることができます。
ちなみに上に書いた本、「アインシュタインの相対性理論は間違っていた」には、すでにその間違いをまとめたアンサーソング的なサイトがあります。
→『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』は間違っていた
まとめ
相対性理論は、内容も面白いですがその歴史的な流れも本当に面白いんです。ぜひ興味のある方は、現象まででなく歴史的背景なんかも調べていただくと、非常に楽しめるのではないかな?と思います。
今後また読んだ本を、随時追加していきます!
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