教育学部という立場で授業見学などで学校に参観させていただいても、驚くほどアクティブ・ラーニング(能動的学習)が浸透していないということに驚いています。また、教育学部生でも知らない人が多いです。
これからの教育は今までのような座学は減っていき、ICTとアクティブ・ラーニングの時代がくると思われます。
しかし大学での授業でそういったことを扱うことはほぼないです。第一、教育学を教えている教授自体の考えが古典的な方が多いですから。
アクティブ・ラーニング用のツールが増えている!
現場、教育的効果としては従来のものの完全上位互換として考えられているアクティブ・ラーニングで、ネックとなるのは教員の技術と時間です。
教員の技術については、正直この団塊の世代が抜けるタイミングで新規教員にアクティブ・ラーニングの技術を身につけさせるしかないです。そのために30代の教員の教育が重要になってくると考えられます。
今後間違いなく広まっていくアクティブ・ラーニングにおいて、ツールの発展というのは必要不可欠になっていきます。
で、今回紹介するのは「Clica」というWebブラウザでクリッカーとして使えるツールです。
Clicaとは?
「クイズ・ミリオネア」のオーディエンスのように使えるClica
Clicaというサービスを提供するのは、株式会社デジタル・ナレッジです。
このサービスは何ができるかと言うと、ザックリと言えば「クイズ・ミリオネア」のオーディエンスのように、選択問題においてのアンケート集計が一瞬でできるというものです。
誰がどの番号に選択したかは分かりませんが、教員はある問題に対して、生徒がどのような理解状況にあるのかを常に判断しながら授業を進められるということです。
あとTwitterのようなタイムライン機能もあるみたいです。
具体的な使用案
これひとつでも具体的にいろんな使い方があります。
1 ピア・インストラクションで使う
一番使い勝手が良いのは、ピア・インストラクション型授業です。ピア・インストラクションとは、以下のように授業を進めていきます。
- ある選択問題を提示
- 直感によるアンケート集計
- 周囲の人とグループをつくり、議論する
- もう一度アンケート集計・根拠の明治
- 教師による解説or実験
といった形です。特徴的なのは5になるまで教員は教えないということで、3で議論をする前と後で、アンケート集計を行い、その差を見ることで議論の有効性(ゲイン)を見ることができます。
従来ではみんなにクリッカーを配ってアンケート集計を行っていたりしたのですが、このClicaを使えばスマホやタブレットを使ってアンケート集計ができます。
生徒の立場から見ると、2で直感的に意見を出すのですが、3によって周りの人間とコミュニケーションをとり、「なぜその答えになるのか?」というものを明確にします。
その後、気が変わった人もいると思うので、4でもう一度アンケート集計を取り、その後教員によって説明を加えるというものです。
こういった授業は単発では全く意味がなく、繰り返し行っていくことによって、生徒はどのように問題を解決していくのか、そのプロセスを学んでいくことができます。
物理で言えば、昔の物理学者が考えたであろう議論の過程を体験させることによって、科学への姿勢というものも身につけさせることができます。
ちなみに僕が実際にピア・インストラクションをやった体験記はこちらです。
長いので興味のない方は読まない方が良いですw。
2 問題演習でも使える
問題演習を行うとき、特に高3のセンター過去問なんかの授業でも大活躍していました。
これは僕は見学しただけなのですが、高3のある授業、地理の授業だったのですが、生徒はみんなスマホを見ています。
そして先生が前で問題を出すと、生徒は一斉にスマホをいじる。するとそのアンケート結果が先生に表示されます。アンケート結果を生徒に伝えるのも伝えないのも良しです。
その後先生は、徐々に答えへのヒントを出していきます。
すると生徒は徐々に正解の方によっていき、ある程度が正解になったら解説をするという授業でした。
この授業の利点は2つあって、
- 生徒の理解状況をほぼ完全に把握できる
- 教員のどのヒントが、正解への鍵だったのかがデータとして蓄積される
というものです。
問題演習の解説において、生徒が9割正解している問題に対して時間をかけることはもったいなく、逆に生徒が全然理解していないのに先にすすんでしまう先生もいます。
こういった生徒の理解状況がグラフで一瞬で反映されるため、先生は遠慮なく時間を使うことができます。
また、教員にとって、どのヒントが生徒にとって正解への鍵だったのかというのは、従来のやり方では見え辛いです(生徒の顔色を見るぐらいしかできない)。
これもリアルタイムで結果が反映されるClicaだからこそ、データを蓄積し、先生の授業の改善にも役立てることができます。
欠点としては、やはりスマホをいじるので見た目がよくないということと、実際に生徒もスマホゲームなどを行う人もいるみたいです。
これらを改善するためにも、学校でタブレットなどの機材がもっと進むようになるといいなと思います。
まとめ
まだまだ広まっていないアクティブ・ラーニングですが、こういったツールの普及により、これから教師になる人は間違いなく必須のスキルになると思われます。
大学の教授もどんどん実践して論文あげてくれれば良いのですが、「え〜、授業で寝させないコツは〜」→(みんな爆睡)。みたいなことばかりやっている人が多いので、難しいかもしれません。