先日、研究室の飲み会がありまして、教育学部らしく教育に関していろいろ話していたのですが、その中で気付いたことを書きたいと思います。
自動詞と他動詞を意識させる
「先生、力学台車が壊れました」
現在講師として生徒を前にしながら研究をしている院生の先輩は、「生徒がそんなふうに言ってくるんだよ。」と話していました。
普通の学校で過ごしていると良くある光景ですよね。院生の先輩はその力学台車を使った授業がそのクラスで初めての授業だったらしく、簡単に叱って終わったらしいです。
あっ、ちなみに力学台車っていうのは、理科の教材でこんな感じのやつです。ちょっと下の図は簡易版のやつですが。
速度や加速度の勉強で使ったりします。
その話から、「生徒に叱るのって本当に難しいですよね。大学の授業でも叱る技術をとにかく教えてほしいのに、誰も教えてくんないや」とグチったりしていて話をしていると、教授から
「っていうか力学台車が壊れたって日本語おかしいよね」
とう言葉が。
一瞬意味がわからなくって「??」となっていたら
「だって力学台車が自ら壊れるわけないじゃん」
と。
う、うん。確かにそうだ。「力学台車が壊れた」っていうのは力学台車自ら壊れたみたいな言い方だ。
「私は叱るときに、まず自動詞と他動詞を意識させるなあ。これを行うと大抵の子どもは素直に聞いてくれるよ」
と先生は続けます。
「人って面白いもんで、何気ない言動の中にも自分を守るようなことが散りばめられてるんだよね。『力学台車が壊れました』ってあたかも自分は悪くないみたいじゃないですか。生徒に聞くと必ず『ガラスが割れました』って言ってる。ガラスは自ら割れるのか??そこは自動詞なのか??と。」
「だけど何かを直したときは自分の功績にするんですよね。壊れた力学台車を生徒が自ら直したら、『先生、台車直しました』ってキチンと他動詞を使ってる」
はあ、なるほど。と思い、僕たちはつい一昨日くらいに「先生、NortonがPCに入りません」と言ったことを思い出しましたが、誰一人として言うことはありませんでした。
「そこであるクラスに、『自動詞と他動詞をキチンと区別して報告しなさい』ということを徹底したんだよ」
先生は続けます。
「つまり何かを報告する時には『先生、モップを壊してしまいました』という風に自分がやってしまったんだということを意識させる。最初は慣れないけど、慣れてくると生徒はできるようになる。」
「何かを報告する時に、『モップが壊れました』と『モップを壊しました』だと、後者の方が生徒が口にするときに自然と反省できるようになる。笑いに変えてくることも少なくなるから、その後の指導がしやすくなるんだよね。」
と。
あ〜なるほどな、と。確かに言葉にして相手に伝える時に、「モップを壊しました」っていうと自分に責任がある感じが全面に出てて、思い浮かべるだけでちょっとしょんぼりしますよね。
最初にルールを作っておくだけなので、簡単に導入もできる。
「まあ私は妻に逃げられたんだけどね」
っという教授の全然笑えない冗談を冗談だと気づくまでに15秒くらいかかって、その後の飲み会に続いていきました。
まとめ
自動詞と他動詞を意識させるだけで指導がしやすくなる。
これは生徒だけでなく家庭での子育て、部下の指導なんかにも使えるかもしれませんし、何より自分自身が意識するべきかなあと思いました。
何気ないことですが、ハッとしたことでした。